株主優待をお得に取得する方法として、すっかり定番になった「優待クロス」。
現物株を買うのと同時に信用売りを行うことで、株価変動による影響を抑えながら株主優待を取得することができます。
ただ、実際に優待クロスを始めると、こんな疑問が出てきます。
「結局、どの証券会社を使えばいいの?」
実は優待クロスでは、証券会社選びがかなり重要です。
証券会社によって、
- 一般信用売りの在庫量
- 短期・長期などの信用区分
- 貸株料
- 信用取引の金利
- 現物取引の手数料
- 在庫の確保方法
が大きく違うからです。
特に重要なのが一般信用売りの在庫。
どれだけ手数料が安くても、欲しい銘柄の在庫がなければ優待クロスはできません。
そこで今回は、優待クロスで特に利用しやすい4社、
SMBC日興証券・SBI証券・楽天証券・三菱UFJ eスマート証券
について、それぞれの特徴と使い分けを紹介します。
- まず結論!おすすめは「1社集中」ではなく使い分け
- 一般信用売りの在庫が多い
- 日興では「現物買い」より信用買い→現引き
- 日興のメリット・デメリット
- SBIは「短期間だけクロス」が得意
- SBIはコストを確認してから使う
- SBIのメリット・デメリット
- 長期クロスではコスト差が大きくなる
- ただし楽天は「在庫が少ない」
- 楽天のメリット・デメリット
- 一般信用(長期)の在庫確保が「抽選方式」
- 他社とは違う「抽選型」
- 「クリック合戦」ではなく抽選で狙える
- 三菱UFJ eスマート証券のメリット・デメリット
- STEP1:まず日興の在庫を確認
- STEP2:日興になければSBI
- STEP3:早い段階なら楽天
- STEP4:三菱UFJ eスマートの抽選にも参加
まず結論!おすすめは「1社集中」ではなく使い分け
先に結論から言うと、優待クロスを本格的にやるなら、1社だけに絞るより複数の証券会社を使い分けるのがおすすめです。
| 証券会社 | 特徴 | おすすめの使い方 |
|---|---|---|
| SMBC日興証券 | 一般信用売りの在庫が多い | メイン |
| SBI証券 | 短期一般信用が中心 | 短期用 |
| 楽天証券 | 長期のコストが安い | 長期用 |
| 三菱UFJ eスマート証券 | 長期の在庫確保が抽選方式 | 抽選枠 |
ざっくり言えば、
「日興をメインにして、SBI・楽天・三菱UFJ eスマートを補助として使う」
という形が分かりやすいです。
なぜ証券会社を使い分ける必要がある?
優待クロスでは、単純に「株を買う」だけではありません。
100株の優待を取得するなら、
現物100株を買う
と同時に、
信用100株を売る
必要があります。
ここで問題になるのが、信用売りの一般信用売り在庫です。
人気の優待銘柄になると、
「優待は欲しいけど、一般信用売りの在庫がない……」
ということが普通にあります。
さらに、同じ銘柄でも証券会社によって在庫状況が違います。
つまり、
優待クロスでは「どの証券会社を使うか」が、そのまま「どの優待を取れるか」に直結します。
① SMBC日興証券|優待クロスのメイン口座
優待クロスを本格的にやるなら、まず候補にしたいのがSMBC日興証券です。
最大の理由は、
一般信用売りの在庫が多い
こと。
優待クロスでは、コストが数十円安いかどうかより、
「そもそも在庫があるか」
のほうが重要です。
日興は一般信用売りの在庫量が比較的多いため、幅広い優待銘柄を狙いやすいのが大きなメリット。
そのため、
「まず日興の在庫を見る」
という使い方が基本になります。
日興では「現物買い」より信用買い→現引き
日興で優待クロスをする場合、もう一つ覚えておきたいのが、
信用買い→現引き
です。
これは「信用取引が便利だから」という話ではありません。
理由はシンプルで、
現物買いには手数料がかかるから。
優待クロスでは、買い側の株を用意する必要があります。
普通に現物買いをすると、
現物買い
↓
現物買い手数料が発生
となります。
そこで、
信用買い
↓
一般信用売り
↓
信用買いを現引き
とすることで、現物株を用意します。
信用買いには金利がかかりますが、現物買いの手数料を避けることができます。
つまり、
現物買いの手数料を払うくらいなら、信用買いの金利を払って現引きしたほうが安い
という考え方です。
例えば100万円を1日だけ信用買いした場合
信用買い金利が年率3.54%なら、
100万円 × 3.54% ÷ 365日 ≒ 97円
です。
この約97円と現物買いの手数料を比較して、信用買い→現引きのほうが安ければこちらを使います。
優待クロスを何十銘柄もやる場合、この小さな差も積み重なってきます。
日興のメリット・デメリット
メリット
- 一般信用売りの在庫量が比較的多い
- 優待クロスのメイン口座として使いやすい
- 信用買い→現引きで買い側のコストを抑えやすい
- 幅広い優待銘柄を狙える
デメリット
- 人気銘柄は在庫がなくなることがある
- 信用買い→現引きでも信用金利は発生する
- 在庫を確認しながら注文する必要がある
日興はこんな人におすすめ
「優待クロスを本格的にやるなら、まず持っておきたい口座」
という位置付けです。
② SBI証券|短期一般信用で活躍
SBI証券も優待クロスでは重要な証券会社です。
ただし、日興とは少し役割が違います。
SBIを使う場合に特に意識したいのが、
短期一般信用
です。
SBIは「短期間だけクロス」が得意
優待クロスでは、早くクロスしすぎると貸株料が積み上がります。
例えば権利確定日まで60日あるのに、60日前からクロスしてしまえば、その分だけコストが増えます。
そのため、
「権利付き最終日に近いタイミングで短期間だけクロスする」
という戦略があります。
このような場面でSBIが活躍します。
例えば、
日興 → 在庫なし
↓
SBI → 短期一般信用の在庫あり
↓
権利付き最終日まであと数日
という状況なら、SBIでクロスするのは十分ありです。
SBIはコストを確認してから使う
一方で、SBIの短期一般信用を使う場合は、コストをきちんと確認したいところ。
長期間クロスする場合は、貸株料などが積み重なります。
そのため、
「SBIに在庫がある=即クロス」
ではありません。
「何日間クロスするのか」
「最終的にいくらコストがかかるのか」
を計算してから判断します。
SBIのメリット・デメリット
メリット
- 短期一般信用を活用できる
- 日興とは違う在庫を狙える
- 権利確定日直前の短期クロスで使いやすい
デメリット
- 長期間クロスするとコストが気になりやすい
- 人気銘柄は在庫がなくなることがある
SBIはこんな人におすすめ
「日興で取れなかった銘柄を短期で拾いたい人」
に向いています。
③ 楽天証券|長期クロスならコスト面が魅力
楽天証券の大きな特徴は、
長期一般信用のコストが安い
ことです。
長期クロスではコスト差が大きくなる
優待クロスでは、かなり早い段階から在庫を確保することがあります。
その場合、1日あたりのコストが少し違うだけでも、
30日
60日
90日
と積み重なると無視できない金額になります。
だからこそ、
長期間クロスするなら、コストの安い証券会社を選ぶ
ことが重要です。
その点で楽天証券は魅力があります。
ただし楽天は「在庫が少ない」
楽天証券の最大の弱点は、
長期一般信用の在庫が少ないこと。
コストが安くても、在庫がなければクロスできません。
そのため、
「楽天は長期が安いから、全部楽天でクロスしよう」
という使い方は難しいです。
むしろ、
「楽天で在庫が取れた銘柄は楽天で長期クロスする」
という使い方が現実的です。
楽天のメリット・デメリット
メリット
- 長期クロスのコスト面が強い
- 在庫を確保できれば長期間のクロスに向いている
- 楽天銀行などとの連携も便利
デメリット
- 長期の在庫が少ない
- 欲しい銘柄をいつでも取れるわけではない
楽天はこんな人におすすめ
「早めに在庫を確保できた銘柄を、低コストで長期クロスしたい人」
向けです。
④ 三菱UFJ eスマート証券|一般信用の在庫確保が抽選方式
最後に紹介するのが、
三菱UFJ eスマート証券
です。
旧auカブコム証券で、2025年2月1日に現在の名称へ変更されています。
この証券会社の最大の特徴は、
一般信用(長期)の在庫確保が「抽選方式」
であることです。
他社とは違う「抽選型」
一般信用売りというと、
「在庫が出たら早い者勝ち」
というイメージがあります。
しかし、三菱UFJ eスマート証券では一般信用(長期)の一部について抽選方式を採用しています。
翌営業日分の一般信用(長期)売建可能銘柄について、
19:30~20:30
に抽選申込を行います。
当選すると、その銘柄の売建注文が可能になります。
「クリック合戦」ではなく抽選で狙える
人気銘柄では、他社だと在庫が出た瞬間に注文しないと取れないことがあります。
一方、三菱UFJ eスマート証券では、
抽選に申し込んで当選を狙う
という別の方法があります。
そのため、
「他社では在庫が取れなかったけど、抽選枠で狙ってみる」
という使い方ができます。
もちろん抽選なので、必ず当選するわけではありません。
また、銘柄によってはプレミアム料が発生する場合があるため、最終的なコストは確認する必要があります。
三菱UFJ eスマート証券のメリット・デメリット
メリット
- 一般信用(長期)の在庫確保が抽選方式
- 他社とは違う方法で在庫を狙える
- 優待クロスのサブ口座として使える
デメリット
- 抽選なので確実に取れるわけではない
- 銘柄によってはプレミアム料が発生する
- 抽選時間に申し込む必要がある
三菱UFJ eスマート証券はこんな人におすすめ
「他社の在庫争奪戦とは違う方法でも在庫を狙いたい人」
に向いています。
4社の特徴を比較
ここまでを一度まとめてみましょう。
| 証券会社 | 一般信用の特徴 | 在庫 | コスト面 | 役割 |
|---|---|---|---|---|
| SMBC日興 | 一般信用 | 多め | 信用→現引きが有効 | ⭐メイン |
| SBI | 短期一般信用 | あり | 短期向き | サブ |
| 楽天 | 長期一般信用 | 少なめ | 長期に強い | 長期用 |
| 三菱UFJ eスマート | 長期・抽選 | 抽選 | 銘柄ごとに確認 | 抽選枠 |
この表を見ると、それぞれの役割がかなり分かりやすくなります。
実際にはどう使い分ける?
ここが一番重要です。
優待クロスをやるなら、次の順番で考えると分かりやすいです。
STEP1:まず日興の在庫を確認
欲しい優待銘柄を見つけたら、まず日興をチェック。
在庫があれば、
日興でクロス。
これが基本です。
STEP2:日興になければSBI
日興に在庫がなければSBIをチェック。
短期一般信用の在庫があり、権利付き最終日までの日数が少ないなら、
SBIで短期クロス。
STEP3:早い段階なら楽天
まだ権利確定日までかなり期間があるなら楽天を確認。
長期一般信用の在庫が取れるのであれば、
楽天で長期クロス。
STEP4:三菱UFJ eスマートの抽選にも参加
さらに、
三菱UFJ eスマート証券の抽選
もチェック。
他社では在庫が取れなくても、抽選で確保できる可能性があります。
優待クロスは「在庫×期間×コスト」で考える
結局、優待クロスで重要なのは、
「どの証券会社が一番安いか」
ではありません。
重要なのは、
① 在庫があるか
まずこれ。
在庫がなければクロスできません。
② 何日間クロスするか
早くクロスすればするほど、貸株料などが増えます。
③ 信用金利はいくらか
特に日興で信用買い→現引きを利用する場合は重要です。
④ 現物買い手数料はいくらか
現物買いと信用買い→現引きのどちらが安いか比較します。
⑤ その他のコストはいくらか
プレミアム料など、銘柄や証券会社によって発生する費用も確認します。
「優待価値-クロスコスト」で判断する
例えば、
優待価値:3,000円
だったとしても、
- 貸株料:500円
- 信用金利:100円
- 手数料:200円
- その他費用:100円
なら、
3,000円-900円=実質2,100円
です。
この2,100円を得るために何十万円もの資金を拘束するなら、資金効率まで考える必要があります。
だから優待クロスでは、
「優待額」ではなく「最終的にいくら残るか」
を見ることが大切です。
まとめ|優待クロスは「証券会社の使い分け」で差がつく
優待クロスでは、1社だけに絞る必要はありません。
むしろ、
複数の証券会社を使い分けること
で、在庫確保のチャンスを増やせます。
今回紹介した4社をまとめると、
🥇 SMBC日興証券
在庫量重視のメイン口座
🥈 SBI証券
短期一般信用を狙うサブ口座
🥉 楽天証券
長期クロスのコスト重視
三菱UFJ eスマート証券
抽選方式で在庫確保を狙う口座
という使い分けがおすすめです。
特に日興は、
「一般信用売りの在庫が多い」
という点に加えて、
「現物買いには手数料がかかるため、信用買い→現引きで買い側のコストを抑える」
という使い方ができるのがポイント。
一方で、
SBIは短期、楽天は長期、三菱UFJ eスマートは抽選
と、それぞれ違った強みがあります。
優待クロスは、
「どの銘柄を取るか」
だけでなく、
「どの証券会社で、いつ、どの信用区分を使って取るか」
まで考えるのが重要です。
証券会社を使い分けられるようになると、同じ資金でも取れる優待の数を増やしやすくなります。
まずは日興をメインに、SBI・楽天・三菱UFJ eスマート証券をサブとして使い分けるところから始めてみるといいでしょう。

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